ごあいさつ
みなさんの生まれ育った街はいったいどんな街だったでしょうか?
田畑や海に囲まれて育った人もいれば,商店街や町工場が立ち並ぶ街で育った人も居るでしょう.あるいは新興住宅地やマンションが立ち並ぶ街で育った,という人も居るでしょう.皆さんにとっての「ふるさと」のイメージは何ですか?
兎追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は 今も めぐりて
忘れがたき 故郷(ふるさと)
「故郷」(高野辰之作詞・岡野貞一作曲)
この歌を口ずさんだり,耳にすると,多くの人はそれぞれの故郷の情景を目に浮かべるのではないでしょうか.この歌の作詞者の高野辰之は,自分が幼少時代を過ごした信州の風景への想いを描写したと伝えられています.一方,作曲者の岡野貞一は,鳥取出身で,やはりこよなく愛した故郷の砂丘を思い浮かべながら曲を作ったそうです.
みなさんが,ふとした時に思い浮かべる「ふるさと」の風景は,ずっと昔から同じようにそこにあり続けたわけではありません.森や海,山や川,あるいは都会であってもその町並みやいろいろな風習は,何十年,何百年,時として千年を超える人々の手によって,作り出され,守り継がれて現在に至っているのです.そして,今も絶えず変化し続け,また新しい「ふるさと」が作り出されているかも知れません.
私のゼミや講義では「人が人らしく生きることのできる街」について考えています.人々は豊かな「自然」や「文化」を守り伝え,また新しく創造していくのはいったいなぜなのか?を問い続けていくことで,経済をはじめとしたいろいろな面から地域の問題を深く掘り下げていきたいと思います.
経済学を学ぶというは,さまざまな問題に対して,論理的な思考力を身につけるということでもあります.経済学を学ぶことを通じて培われる論理的な思考法や分析能力は,これからの世の中において皆さんにとって必ず大きな力となることでしょう.これから世の中に羽ばたく皆さんとともに学んで行きたいと思います.
大阪商業大学経済学部
原田 禎夫